10月13日の夢(運転手の正体)

 海外出張を終えて、会社に戻るためタクシーに乗る。運転手は初老に近い、中年の男性だ。長い出張だったので、会社の様子も随分変わった。広大なオフィスはすり鉢状で同心円状にデスクが囲んでいる。オフィスの中心はすり鉢の遥か底の方。ぼくは一番外側の円、つまり一番高い場所にある。そのデスクは三人分がつながっていて、左は男性社員、右は新入社員の女性。ぼくは二人にはさまれた真ん中だ。
 早速、その席に荷物を置き、ランチボックスを開けて食べようとしたところで、それをひっくり返してしまう。慌ててそれを捨てようと階下に降りる。きょろきょろと探し回るが、どうしてもゴミ捨て場が見つからない。鞄の中には出張で撮影したばかりのピアニストの写真がいっぱいある。早く整理したいし、記事も書きたいのに。
 ふと階下の部屋を覗くと、一人の男性が寝ている。さっきのタクシーの運転手だ。実はこの会社のエライ人だったらしい。そういえばタクシーの運賃が未払いになっていた。慌てて支払おうとすると、彼の息子らしい青年が出てきて、にこにこしながらぼくからお札を受け取る。

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10月11日の夢(所沢への道)

 路線バスに乗っている。比較的空いていて、ぼく以外には中年のサラリーマンふうの男性が一人、ほかには若い女性グループが数人で、彼らはおしゃべりに余念がない。中年男性の運転手はマイクで「所沢への道は分かりにくいので、お気をつけください」と車内放送している。
 途中でふと気づくと、荷物を座席に置いたまま、男性の乗客の姿がない。どうやらそれに気づいたのはぼく一人だけらしい。
 終点に着いた。運転席の横の出口から降りようとすると、運転手がぼくを振り向いて「さっきはああ言いましたが、所沢への道は本当は簡単なんですよ」と告げる。
 そこから改札口までの間には広い待合室がいくつも並んでいる。女性客たちは最初の部屋に入り、またもやおしゃべりに夢中だ。ぼくは男性客の失踪について誰かに訴えたいと思うが、その相手が見当たらないまま、ついに最後の待合室まで来てしまった。

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10月6日の夢(独身寮)

 昨夜からぼくは独身寮に住むことになった。トイレに行きたくて目が覚める。廊下には既にきらきらとした朝日が射しこんでいる。部屋は四方の壁一面が書物で埋まっていて、何もかもが希望にあふれて輝いている。
 廊下をトイレに向かいながら腕時計を見ると、もうすぐ起床時間だ。このまま起きてしまおう。部屋に戻ろうとすると、各室のドアが開き、男女の寮生が入り口に立っている。見るとどの部屋も内部は書物でいっぱいで、ぼくの部屋とそっくりだ。うっかり手前の女性の寮生の部屋に入りそうになり、驚いて女性が一歩身を退く。
 自室に戻って着替えを始める。ぼくの部屋は廊下との間にも天井まで届く本棚があり、ここで着替えても外から見えることがないので、便利だなと思う。

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10月5日の夢(詩人パーティー)

 詩人たちのパーティー会場に出かける。レストランの入り口に透明プラスティックケースに入った料理の詰め合わせが山のように積まれている。中身は魚、肉、野菜……すべてが上等で、とてもおいしそうだ。入り口に縁台のようなものがあり、そこに知人の女性詩人がいるので、ぼくも隣に座る。楽しそうに話し込むうち、彼女の体がだんだんぼくに傾き、しなだれかかってくるが、心地よいのでそのままにしている。
 左手奥にあるパーティー会場に入る。ぼくに割り当てられたテーブルは三人席で、左と右に既に亡くなった長老詩人が座っていて、互いに口角泡を飛ばす勢いで話している。二人の間が空席になっていて、そこがぼくの席だ。あまり有り難くないが、ともかく席につく。そこではっと気がつく。入り口で貰った御馳走を忘れてきた。
 慌てて入り口に引き返すが、もうそれは誰かに持ち去られてしまったあとだ。それでも必死で料理をかき集め、席に戻ると、もうパーティーは終わりだという。
 テーブルの反対側にはポエトリー・スラム系の女性詩人たちがいて、「別の会で、会費がとても高いので、てっきり食事つきだと思ったのに、なんにも出なかったわ」とか「誰かが出演の順番を自分勝手に変更してしまったのよ」などという下世話な話を大声でしていて、なんだかいやな感じだ。

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10月3日の夢(粉かけ芋虫)

 合評会に行こうとして、乗換駅の新宿にいる。メンバーのAさんとTさんも一緒だ。Tさんは荷物を沢山持っており、それを整理するためスーツケースを床に下ろす。すると見知らぬ若い男が近づいてきて、「スーツケースを沢山お持ちですね。一つ貸してください」と一個持ち去ろうとする。慌てて男を追い払い、荷物を見張ることにする。
 その間にAさんは一匹の芋虫をつかまえ、その胴体に黄な粉のような粉をまぶす。床にあいた浅い円形の穴に虫を放すと、虫は逃れようとして穴の中を暴れまわる。暴れながら虫はどんどん大きくなり、やがて粉まみれのドブネズミのようになった。そして穴の縁を乗り越えて、外に逃げ出してしまう。
 三人は時計を見て、合評会の開催まであと15分もないことに気づく。急いで荷物を持つと、地下道を左に折れて乗り換えホームに向かう。

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10月2日の夢(島めぐりの連絡船)

 島がたくさん浮かんでいる海の、島から島へと各駅停車のように巡る船に乗っている。それぞれの島での停船時間はとても短い。しかも初めて乗る路線なので、駅名がよく分からない。ある島の駅名表示を見て、「あれっ、ぼくの降りる島はここだったのではないか?」と思う。だが、その瞬間に船は出発してしまう。しかたなくぼくは終点の島まで行き、改札口の駅員に帰りの船の時間を尋ねる。すると、幸いなことにすぐ帰りの路線の船が出るという。それに乗れば、今度こそ目的の島に着くことができるだろう。

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9月27日の夢(襤褸の服)

 会社で安価な服を斡旋してくれたので、とてもいい買い物をしたと思い、早速それを着て仕事をする。ところが夕方、なんだかすうすうする。安い服は見かけこそちゃんとしていたのに、一日もたずにあちこちが破れ、お尻やお腹、肩などが露出してしまっているのだ。慌てて、残っている部分を首のあたりで結んで、これ以上肌が露出しないようにする。そして、同僚や社長に気がつかれないよう、挨拶もしないで退社する。社長はD社の女性社長。二人の同僚は編集委員のNとOだ。同僚は二人で話に夢中だし、社長は右隣りの店舗へ行って、娘二人とはしゃいでいる。ぼくらの会社も道路に面した店舗で、床にはオートバイの部品のようなものが足の踏み場もなく散らばっている。
 外に出て、右に折れる。その道は昔、ぼくが名古屋の東海高校に通っていた頃の通学路である。地下鉄に乗ると、襤褸服に身を包んだぼくは怪しまれるだろう。この道をまっすぐ行けば、バスの走る桜通りに出るはずだ。でも、バスで吊革につかまれば、目の前の座席の客に浮浪者と思われるかもしれない。いっそ、タクシーを拾って帰る方がいいだろうか。

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9月17日の夢(ブレーキ)

 住宅街に路駐した車に一人で乗っていると、車が勝手に動き出した。慌ててブレーキを引こうとする。ブレーキは足元ではなく、ハンドルの脇にあり、浅いお椀のような形をしている。道路の反対側の民家の前の電柱に衝突する寸前で、車はぎりぎり停止した。

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9月16日の夢(針の衣)

 京都の街で舗道に三人の男たちと野宿した。朝、起きてみると、これから海外旅行に行くのに、ぼくの着ていた服がなく、下着姿である。盗まれたのだ。代わりに木の皮で作ったスーツの上下がある。しかたなく身につけようとすると、服には無数の縫い針が刺さっている。束にして抜くが、抜いても抜いても針だらけだ。それを捨てた足元も針山のようになる。
 海外へ行くため、仲間がタクシーを呼び止める。だが、そのタクシーの運転手は以前からそばにいた別のタクシーに乗るようにと勧める。乗り込んだタクシーは白い長方形を三つ縦につないだ形で、その上に腹ばいになって乗るのだ。こんな姿勢で海外まで飛ばされたら、振り落とされないだろうか。だが、幸い、ぼくは運転手の隣の助手席に座らせてもらうことができた。慌てて出て来たので、荷物が揃っているかどうか不安だ。パスポートや保険証はあるだろうか? ぼくは真っ白な立方体の箱の蓋を開けて、中を覗き込む。

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9月5日の夢(鮎ぱー)

 ぼくは二人の女性と三人で共同生活をしている。ぼくは脚立に登って、天井のフックに洗濯ハンガーをかける。何かの拍子にハンガーは墜落しそうになるが、予期していたのでさっと受け止めて事なきを得る。
 三人でじゃんけんをして炊事当番を決めることになる。ぼくと向き合って、右に年下、左に年上の女性がいる。ぼくが「じゃんげんぽん!」と発声し、みんなで一斉に手を突き出すと全員が「ばー」だ。引き分けだと思ったが、年上の女性が「あたしの勝ちだ」と言う。「あたしは手のひらを細かく揺らしていたから、これは鮎の泳ぎを示す鮎ぱー。だから、あたしの勝ちで、あたしが炊事当番をする」。ぼくはそんなインチキを彼女が言って、自分が負けたことに悲しくて涙がこみあげてくるが、「でも炊事当番をしてくれるのだから、まあいいか」と思う。

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