マンションの一室にある会社に面接に行く。ぼくのほか数人の若者が受験に来ている。若い社長夫婦は「忙しいから一人に一問ずつ質問するね。あとはきみたちで適当にやっておいて」と言い置いて、ばたばたと出て行った。しかたなく受験生の一人であるぼくが残りの面接官を務める。
すべての面接が終わり、あとにぼく一人だけが残った。ぼく自身の面接はどうすればいいのか。まあ省略すればいいかなと、オフィスでのんびりしていると、いきなり玄関が開いて初老の夫婦が現れた。「どうだね、うまくやっているかね」と声をかけてきた彼らは、さっきの若社長の両親だという。慌ててぼくは立ちあがり、「えー、はい、どうも……」とへどもどする。二人は「まあいいか、カメラの映像を見ればいいよな」と言い合っている。しまった。この一部始終はすべて監視カメラに映されていたのだと気づく。