新雑誌の企画会議に出席している。朝の9時にスタッフが集まり、5分で終了し、解散したところに、いつもいろいろと難癖をつけるうるさい上司が3人、いそいそとやってきた。ぼくは彼らに「9時集合と言いましたよね。既に会議は終了し、プランは決定しました」と勝ち誇って宣言する。周りの同僚たちも拍手こそしないが、嬉しそうだ。3人はがっかりした表情で立ち上がる。ふと見ると、床に花瓶が落ちて赤い花が散らばっている。水もこぼれている。さっき会議をしていたスペースの背後がなんだか妙に暗い。
自分のデスクに戻って、気をとりなおすと、Y社から依頼されていたセールスキャンペーンの新聞制作を長い間放置したままだったことを思い出した。多忙だから誰か他の同僚に依頼しようかと思うが、やはり自分に来た発注なので、これから浜松に打ち合わせに行こうと考え直す。
浜松のピアノ工場に着いた。なんだか荒野のようだし、校庭のようでもある。屋外でクライアントの男性たちと立ち話になる。ぼくは普段着の青い半袖シャツに青い半ズボン姿だ。おまけに名刺も切らしているが、幸いクライアントも名刺を切らしていると言って、ありあわせの紙に自分の名前と所属を書いてくれた。ぼくも真似をしようとして鞄の中をごそごそ探すが、出てくるのは偽札を模したメモ用紙のようなものばかりで、実用性がない。打ち合わせは終わったのか、もう帰っていいのかどうかも分からないまま、かたわらの上司が帰らないので、ぼくと担当者の二人は校庭のような場所に何時間も立ち続けている。時計を見ると夜の11時だ。もう帰宅する新幹線はない。それなのに空は青くて、ぽかぽかと白い雲が浮かび、真昼のように明るい。