5月28日の夢(映画祭)

 アメリカの地方都市で行われる有名な映画祭の会場にまぎれこむ。映画はスクリーンではなく、会場の空間そのものに投影されている。青黒い夕暮の田園風景の中を日本人の少年と父親とが右手の方角に連れ立って帰っていくシーンが観客の頭越しに見える。すると左手の方から紙飛行機とも吹き矢ともつかないものが音もなくいくつも飛んでくる。よく見るとそれは鳩の形をしている。父親はその襲撃から少年を守ろうと、観客たちのいる側に急いで避けるが、間に合わず一羽の鳩が少年の左肩に突き刺さる。そして鳩は少年の背中で激しくブランコか振り子のように躍り上がる。そこまで映画を観たところでぼくは立ち上がり、後方出口から会場を出ようと歩き出す。観客のアメリカ人たちがぎっしり座る丸テーブルがたくさんあり、その隙間を縫って歩くのは容易ではない。だがなんとか出口にたどりつく。守衛をしていた女性係員が英語でぼくに声をかける。多分「一度退出すると再入場できませんよ」と言ったのだろう。ぼくはドアを指差して「出口!」とひとこと言い、躊躇なく外に出る。そこからまっすぐ細い道が前方に続いているが、すぐに大きな川らしいものに突き当たる。川に沿って左右に交通量の多い幹線道路が伸びている。これを右に行けば、日本にあるぼくの自宅に帰れるはずだとぼくは確信する。

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