ネパールのような高い山に囲まれた王国。ぼくはその国民で、王様に拝謁できる権利を持つ17人のうちの一人に初めて選ばれた。
今日はその拝謁の日だ。王宮の二階の廊下にはバーのカウンターのような長いテーブルが窓に面してしつらえられており、その前に17脚の椅子が並んでいる。ぼくが到着すると既に先輩詩人のG氏も到着している。ぼくは右端から二番目の席に座る。しかし、そこにいる選ばれた17人は誰も金持ちや王侯貴族には見えない。みんな普通の人たちだ。
執事の男性がやってきて、「皆さんは17枚の紙をお持ちですか」と尋ねる。17枚もの紙は手元に用意してこなかったが、手帖かノートを破ればなんとかなりそうだ。だが執事はぼくを制して、「お持ちでないなら結構です。私の方でご用意いたします」と言って、奥へ引っ込む。さぞや高貴な紙を持ってくるかと思ったが、彼が手にしていたのは意外にも使用済みの裏紙だった。
王の部屋に入ると、王はもっさりとした男性だった。執事は何か大切なものを遠くの山の麓にある塔に取りに行ったという。窓からその塔が見える。そのてっぺんから彼が鳥のように飛び立つのがわかる。彼は豊かな髭をたくわえた男性の姿のまま、大きな翼を肩に生やしている。その彼が威風堂々滑空する姿はまるで爆撃機のようだ。だが彼は途中で失速し、墜落してしまう。
それを見届けて、ぼくはひとりさっきの廊下に戻る。そして周りを見渡して、誰もいないのを確かめると、急いで窓を開け、夜の暗い地面に蓋のない白い箱を投げ捨てる。