12月20日の夢(78人の強盗団)

 ぼくはマンションで妻と暮らしているが、もう一人家族ではない同室者がいる。詩人のA氏である。家の真ん中にはまっすぐな廊下が伸びていて、その両側にいくつか部屋がある。

 その一番奥右手の部屋の中に来客がいつのまにか入り込んでいる。若い生保レディだ。保険の担当者として訪問に来たと言い、それらしく新しい保険の宣伝をする。「うちには必要ないから」と追い返す。台所に行くと妻が「これから用があって外出する」と言う。振り返るとAがさっきの女性と勝手に話し込んでいる。怒って「出て行かないと不法侵入で110番するぞ」と怒鳴る。すると廊下の反対側の部屋から彼女の母親だという老女が忽然と現れ、二人でぼくを威嚇し始める。やむなくぼくは妻のいる台所に逃げ込み、スマホで110番に電話しようとする。だがぼくの操作ミスなのか、スマホからはYouTubeの陽気な音楽が流れだすだけだ。「110番して!」とぼくは妻に救いを求める。女性二人は勝ち誇ったように玄関に移動し、「外には私たちの家族が全員来ているの。78人よ」と言う。それと同時に強盗団全員がドアからなだれ込んできた。中の一人に見覚えがある。二枚目で知られるトニーだ。トニーはポケットからオレンジ色の注射器を取り出し、細い針でぼくの胸をあっという間に刺してしまう。「えっ、ぼく、刺されちゃったの?!」と驚愕するが、痛くもないし、毒が回るでもない。ただ、強盗団の狼藉ぶりをあっけにとられて眺めるばかりだ。

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