3月20日の夢(携帯電話)

 クライアントのY社から、数日後に開催されるオリンピックの展覧会に、短歌同人誌「K」の歌人たちのアンソロジーを制作することが決定したと、急に発注があった。随分前にぼくが原稿を作成し、原案をY社に預けておいたものだ。なにげなく承諾して帰宅したものの、ぼくの原案にはない歌人たちの作品も付け加えて、二倍ぐらいの厚さに仕上げなくてはならないという。そのため、「K」誌を家の中で妻といっしょに探し回るが、見つからない。もう原稿を作成した時点で用済みと判断し、ほかの同人誌といっしょに捨ててしまったらしい。
 とりあえず死んだはずの父や、既に退職したはずのM氏らと共に電車で秋葉原にある代理店を目指す。代々木で急行に乗り換えた方がいいだろうかと躊躇し、吊革につかまったまま連れの姿を探すが、同じ車両にも前後の車両にも見あたらない。そのまま乗っていると、どこからともなく彼らが現れて、四谷で降りてしまった。「会社で待っているから」と言う。
 結局、ぼくだけが秋葉原へ行った。代理店の入っているビルは、とてもモダンな立派な建物だ。ロビーにはコンパニオンの制服を着た女性たちが大勢いて、華やかな展示会の真っ最中である。しかし、代理店の部屋はどこなのか。携帯で電話しようと思う。番号登録はしてないが、昨日かかってきた番号が記憶されているから、それに逆電すればいいだろう。だが、携帯の画面はワンセグになっていて、この展示会の案内ビデオが映っている。どうすれば電話に切り替えられるのかわからない。おまけに、展示会の音がうるさくて、たまらない。ドアの向こうに小部屋があったので、そこに入ってみる。中は無人だったが、散らかったテーブルや椅子の上にコンパニオンたちの服や持ち物が置いてある。彼らの楽屋らしい。ここにいてはまずいと思い、再び外に出る。

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