11月9日の夢(脱出行)

 何があったのか分からないが、文明社会が至るところで破滅に瀕しているらしい。行方不明で、連絡のとれなくなった会社の同僚たちも多い。デザイナーのSくんの携帯番号にかけても、出てくるのは全く関係のない女性だ。
 社員みんなでここから脱出することになり、列車に乗ったつもりだったが、それは船だった。大きな入り江か川のような水面を航行していくと、大波が立ち、船はゆさゆさと揺れる。上空を米軍のヘリコプターの編隊が轟音を立てて海の彼方へ飛んでいく。
 駅に着いて(やっぱり列車だったらしい)、みんな小休止する。ぼくはその間に何か腹の足しになるものを買っておこうと、駅の近くの魚屋を覗く。開店しているお店も今では少ないので、魚屋も殆ど雑貨屋のようになっていて、パンも売っている。どのパンを買おうかと迷っているうちに「出発!」という声がかかる。みんな一つだけ開いているレストランに入っていく。そこは人々でいっぱいで満席だ。所狭しと並べられた椅子の脚に蹴躓きそうになりながら、苦労して店内を進み、空席を探していると、誰かが「外だ」と言う。意味がわからないでぼうっとしていると、みんなは店の外の地面に座って、食事のできるのを待っている。店内に入ったのはトイレを借りるためで、もともと席はなく、外で食べるしかないのだという。

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