6月5日の夢(三島由紀夫と三人の男)

 壊れた美しい廃屋があるので、何かいいものが見つかりそうな気がして庭に入り込む。建物の中を探していると、中年の女性が二人近づいてくる声がするので慌てて隠れるが、緑色のネットに絡まってしまった。

 戦後の駅のプラットホームに立って、通過する花電車のような新幹線を見ている。列車の屋根に小学生の女の子たちが乗っているので、石をぷつけようとする。

 小さな川のほとりで、四人の男たちと話をしている。思いついたことを紙に書こうとするが、吹いてきた風に飛ばされてしまう。道に落ちていた木片に書こうとするが、うまく書けず川に投げ捨てる。四人の男たちのうち二人は死者らしい。そのうちの一人は三島由紀夫である。

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5月24日の夢(朗読会で歌う)

 朗読会に招かれたので出演することにする。会場の入り口近くに座った男性が「やあ、早く来ようと思ったんだけど、なかなか出れなくてね」と挨拶してくる。誰だったろう? そうだ。若き日の小田さんだと気づく。

 ぼくの番が来て、ステージに上がり、ひとしきり前振りのMCをした後で、さて詩を読もうと手元を見ると、用意してきたはずのテキストがない。事情を聴衆に説明し、客席の荷物の中を探すが見つからない。ままよ、と心を決めてステージに戻る。もう一度事情を話した上で「涙をこらえて」(ダーク・ダックスのトップテナー、パクさんがリードボーカルで歌っていたロシア民謡)を歌い始める。一番、二番……。客席はしんとしている。果たして受けているのかどうか。

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5月23日の夢(軍服の若者たち)

 会社が真っ白なオフィスにリニューアルされた。左右二つの部屋があり、左の部屋の一番奥、舞台のように少し床が高い部分に管理職であるぼくの真っ白いデスクがある。社員たちは皆煙草を喫っていて、煙で息が苦しくなる。「会社の中は全館禁煙だよ」と申し渡して、右の部屋に移る。こちらは喫煙者はちらほらとしかいないが、「どうしても喫煙したい人は窓の外のベランダで」と命じる。右の部屋の社員たちは皆ぼくに協力的だ。しかし振り返って、びっくりする。ぼくのデスクのところに真っ黒なグランドピアノが置かれているのだ。あの演奏者席にぼくは座れるのだろうかと不安になる。

 ランチに外出する。オフィスの前は校門のようになっていて、軍服を着た一団の若者たちが銃を構えて検問をしている。列をなして路地から次々と車両が検問を受けるために進んでくる。

 地下道に入り、うっかりして地下鉄の改札口をくぐってしまった。もう引き返せない。しかたなく一駅電車に乗って、隣の駅でパンでも買おうと思う。

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5月19日の夢(エレベーター)

 妻と旅行の帰り、我が家の墓地のある名古屋に立ち寄る。東山公園あたりのビルにぼくらは上る。エレベーターに乗り、妻に「何階?」と尋ねると、「一番上の階」と答える。でもそれでは何階か分からないので、階数ボタンが押せない。

 ぼくが先にお店を偵察に行く。そこはパン屋で、ショーケースに沢山のおいしそうなパンが並んでいる。「一個2000円のパンを一人三個まで注文していいよ」とぼくは妻に話す。妻は喜ぶが、店に戻ってみると、もう閉店の時間だという。

 再びエレベーターで降りながら、乗り合わせた女性店員たちに「どこか食事ができる店はありますか」と尋ねる。だがエレベーターを降りたとたん、妻はぷいとどこかへ行ってしまう。店に入って妻にメールしようとするが、スマホはイチョウの葉っぱのような形をしていて、待ち受け画面のはるか下方にスクロールすると、豆粒のようなメール画面が出てくるだけで、とてもメールなんて打てない。

 困っていると、妻が再び登場し、その場にいた人たちを引き連れてみんなでまたエレベーターに乗り込む。このメール画面、打ちかけのままどうすればいい? と一瞬ぼくはとまどう。

 エレベーターはロープーウェイのように空中を行く。窓から山林の中に赤い鳥居が見え、その向かい側の広大な森は山本太郎の新しい家だと、男性店員が言う。こんな名古屋の山奥に彼は引っ越してきたんだと、すごいなあとぼくは感嘆する。

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5月18日の夢(映画技師)

 映画館の音響技師を取材に行く。映画の上映がはねるのを待ち、ぞろぞろと帰る客たちの流れに逆らって場内に入る。現れた技師は見覚えのある老紳士だった。「何年か前にあなたを取材したことがあります。覚えていますか?」 老紳士は覚えていた。名刺を渡そうとするが、一時間近くかけてポケットから出しても出しても破れたり汚れたりしていて、きれいな名刺がない。しかたなく紙にペンで自分の名前を書く。これからもう一件取材があると言って、彼は着替えに行く。帰ってきた技師は美しいドレスを着た女性に変身している。「あとどれくらいお時間をいただけますか」と尋ねると、時間は十分あるという。「お自宅にはタンノイという大きなオーディオ装置をお持ちですね」と、ぼくはインタビューを始める。

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5月13日の夢(白夜)

 新雑誌の企画会議に出席している。朝の9時にスタッフが集まり、5分で終了し、解散したところに、いつもいろいろと難癖をつけるうるさい上司が3人、いそいそとやってきた。ぼくは彼らに「9時集合と言いましたよね。既に会議は終了し、プランは決定しました」と勝ち誇って宣言する。周りの同僚たちも拍手こそしないが、嬉しそうだ。3人はがっかりした表情で立ち上がる。ふと見ると、床に花瓶が落ちて赤い花が散らばっている。水もこぼれている。さっき会議をしていたスペースの背後がなんだか妙に暗い。

 自分のデスクに戻って、気をとりなおすと、Y社から依頼されていたセールスキャンペーンの新聞制作を長い間放置したままだったことを思い出した。多忙だから誰か他の同僚に依頼しようかと思うが、やはり自分に来た発注なので、これから浜松に打ち合わせに行こうと考え直す。

 浜松のピアノ工場に着いた。なんだか荒野のようだし、校庭のようでもある。屋外でクライアントの男性たちと立ち話になる。ぼくは普段着の青い半袖シャツに青い半ズボン姿だ。おまけに名刺も切らしているが、幸いクライアントも名刺を切らしていると言って、ありあわせの紙に自分の名前と所属を書いてくれた。ぼくも真似をしようとして鞄の中をごそごそ探すが、出てくるのは偽札を模したメモ用紙のようなものばかりで、実用性がない。打ち合わせは終わったのか、もう帰っていいのかどうかも分からないまま、かたわらの上司が帰らないので、ぼくと担当者の二人は校庭のような場所に何時間も立ち続けている。時計を見ると夜の11時だ。もう帰宅する新幹線はない。それなのに空は青くて、ぽかぽかと白い雲が浮かび、真昼のように明るい。

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4月27日の夢(編集者たち)

 今日は会社を退職する日だ。だが、編集者としてのぼくのキャリアが終わるわけではない。ガランとした人けのないオフィスの自分のデスクから、ぼくは最後の経費をつかみとる。それは透明で、虚無そのもののように見える。

 街に出ると、同じ作家を担当する他社の三人の編集者たちに出会い、合流して行動することにする。まずは作家の行方を探索しなければならない。他社の一人が作家は病院に入院していることを突き止めた。だがそのために彼は経費が尽きてしまい、作家探索の旅から脱落することになる。

 残りの三人で、作家の入院する病院のある都市へと新幹線で向かう。女性の編集者は「私は最後尾の号車に乗るから」と言う。目指す都市へ着き、ぼくはホームから階段を降りたところで残りの二人を待つが、いつまで経っても二人は現れない。どうやらうまくまかれてしまったようだ。

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4月17日の夢(蛇と貉)

 机の上に本がごちゃごちゃと置かれている。そこに赤いミミズのような蛇が現れ、巨大化するかと思えば、机の外にこぼれ落ちたりする。妻に「机から蛇が出る」と訴える。かたわらには書棚があるが、そこから不意に貉のわうな獣が躍り出て、妻の後を追う。ぼくは床に落ちている竹の棒を必死で手に取り、振り回すが、なかなか獣には当たらない。

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4月14日の夢(マー君のインタビュー)

 プロ野球投手のマー君をインタビューするために四国へ出張した。川を渡ろうとすると、橋の真ん中に穴があいていて、その中から「おーい、誰か助けてくれ」と声がする。覗き込むとマー君が顔を真っ赤にして叫んでいるので、助け上げる。

 地上に無事戻ったマー君に「今日、ぼくがインタビューする予定だと、分かってました?」と尋ねると、驚いた顔をする。並んで歩きながら「ここでキャンプなんですか?」と言うと、けげんな表情だ。しまった。もうリーグ戦が始まっているのに、なんて愚問なんだと反省する。「以前、新人の頃にもぼくのインタビュー受けたの、覚えてます?」と言うと、記憶がないという。

 ふと違和感を感じて下を見ると、ぼくの履いている長靴の足先が両足とも大穴があいていて、指が丸見えである。これはまずい。彼を助け上げたのだから、もしかしたらお礼に新品を買ってくれないだろうか、と考える。だがそんなことはおくびにも出さず、「ランチを食べに行きましょう」と言うと、素直に「はい」と言う。とりあえず母と泊っているホテルに寄るというので、ついていく。人々がたくさんいるロビーのドアを開けて、「ジ・エンド」とマー君が言う。なにげなくついていこうとして、そうかここから先はついてくるな、という意味かと了解する。しかししばらく待ってもなかなか彼は戻ってこない。一人の若い男が出てきたが、それは別人だった。

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4月6日の夢(合評会)

 ウォーターフロントの高層ビル最上階のガラス張りフロア。ソファーの快適なこの部屋で新しい詩の合評会を始めた。十人ほどのメンバーの中に妻も加わっている。作品を提出している10人ほどのうち、なぜか最後の人だけが欠席だ。詩の読み方がいつも同じでつまらないとクレームをつける参加者もいる。

 ガラス張りの壁面の向こうは大きな空で、西日がいっぱいに差し込んでいる。カモメが飛んでいる、と誰かが言う。「港町だから当たり前だよ」とぼくは答える。すると壁面いっぱいになるくらいの巨大なカモメがやってきて、ぼくらを覗き込む。美しい風景にぼくはシャッターを切る。するとカモメは美しい天女に変身する。

 振り返ると、欠席だったはずの最後の作品を提出した韓国の老詩人が朗読を終えたところで、ぼくと目が合う。西日が逆光になっていて、テキストが読みづらいが、目をすがめて作者名を読み取り、「〇〇さんでした」と皆に紹介する。

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