25時の魔女たちへ

二十五時の魔女たちへ
紅月夜 冷たい指で奏でられ その旋律に桜(はな)は乱れて
温もりを 欲しがる猫にイルバチオ 楽園の香は殺人の味
月の使者 紅き名を持つ魔女の肌  聖痕(キズ)に焼かれて血を流すのみ
恋に酔い サバトに踊る魔女一人 後ろ手に縄 胸元に華
漏らす音 溢れる声も檻の中 肉体(カラダ)すら 心裏切り 主を求め
寒き夜も すきま風すら弾かれて 胸元にキス 下肢に法悦
チョコレート 溶け出した夜に滑り出す 甘い恋こそ 秘め始めなれ
人知れず 25時に咲く桜(はな)の 花弁をエキスに魔女(シトリー)は笑う

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日の出

日の出
黒いとか白とか黄色の肌事情 光射照らせ ラインを超えて

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どこ?

どこ?
役に立たないのなら死んでくれ!
と 父親に言われた事は覚えているんだけど
白い箱
人を置く棚
四つ
みぎうえ
家族が死んだ!
死んだらあかん!
繰り返すカセット
すり減って
三日後 お経
みぎよこ
食べられないのに長生きできる不思議な老人
まえ
気ィくるとんのか!
叫ぶ おばちゃん
手洗い場の白い消毒液が笑う
飲んでみたら甘いよって笑う
ここは どこ
言葉にできない

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知らないおばちゃん

知らないおばちゃん
同じ病棟の隣り部屋に
遠縁にあたる
近所のおばちゃんが
入院した
徘徊しないように服を
太糸で繋がれて
何度も何度でも
「家族が死んだ!」
と夜中叫び続けた
根性負けした看護婦に
家族の声を聞かせるための
公衆電話の十円玉の声は
一日三枚
ねえ おばちゃん
昔みたいに言ってよ
玉葱作りすぎたから
勝手に欲しいだけもっていき!
って
ねえ 喋ってよ
実の娘と娘婿が
ストレス解消に
夜中に虐待を受けてるって
  (どんどん家族が死んでいくのでこわくてねむれられへん)
おばちゃんは
家族を殺してしまった
贖罪のために
頭から樹海に入って
今も彷徨っている
ねえ 戻っておいでよ
片足を引きずりながら
杖ついて
茄子も持っていき!
と 大声で笑っていた
昔なじみの
知ってるおばちゃんに

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未完成

未完成
未完成
玉虫色の瞳
何 映す
欺瞞の世界か
思惑にとらわれた
恋の行方か
その瞳すら
狡猾の輝き
蒼き陰は
秘密を含み
鮮やかに
朱に交われば
身を隠す衣
お前の傾いた
価値観の習性は
直らず
ただ 嘯く装いで
予知夢を疑い続ける
ならば
五感で
映るものの
虚偽を破れ
六感の
スピリチュアルなど
捨て置け!
或る女の
インスピレーションで
描かれたお前も
作者と同じく
また
未完成
魂を
魂を
授ける日まで
今は
楽園を
待て

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約束だけ

約束だけ</span>
うず
あおいカオスの渦が
二人を呑み込み
流れにおされ
最果て
煙りたち
消え行く魂
混沌の龍泉に
私たちは
お互いの
命の表現を続けながら
来世を信じ
哭きながら
言葉に
溺れ
傲り
酔いつぶれ
飲まれ続ける
時もなく
尺度もなく
肉体も
砂塵に消え
想いは溢れる
ありきたりな詩
愛する君よ
その魂が
「私」と「信」の記号を
知覚していたとしても
未来邂逅は
いたずらに
ままならず
夢現に
微睡み
揺られ
奈落へ墜ちるだろう
かつて詠いし
たまゆらの恋は
浮遊を知らず
微笑みて
沈みゆくのみ
だから
今は
「在りし日」の
笑顔の
君との
約束だけ

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ウォルフガング・アマデウス・モーツアルト

ウォルフガング・アマデウス・モーツアルト
コンスタンチェ
泣かないでおくれ
悪女の君らしくないじゃないか
今 語っている言葉すら
誰かのための誰かのメロディー
演じきるのが音楽家
確かなものは音符を超えた魂の上にあるのに
掴めなくて
必死で足掻いてる
人の台詞ばかり覚えて
自分のメロディーが
二短調になるんだ
正義が愛に破れた日が早くくれば
僕たちは幸せな波長調になれただろう
だけど
もうクスリがないと
眠れないんだ
心が暴れだす
思想が自分を暴き出す
僕を蝕むヨーゼフ二世の声
もう
恐怖心は正直ないんだ
ただ時間と戦っている
残された時間が
生きた証にになるように
しがみつく
金と時間の天秤の傾きは
ジャステスに聞いてくれ
死神の鎌
悪魔の誘い
異質な魔笛が喉元に嵐を呼ぶ
来るべき呪いの日
泣かないで
哭かないでおくれ
コンスタンチェ
僕の曲 僕のメロディー
それは 僕のものではないと
サリエリとカテリーナに伝えておくれ
時代に踊らされるのは
お互い様だと
我は不滅の天才音楽家なり
その称号
時代を超えて魂で楽譜で紡ぐ
未来全ての音楽家たちへ
捧ぐ!

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      大奥が   将軍様を   待っている

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うそつき

うそつき
詩人は 真実を話す嘘つきである
ジャン・コクトーの名言が好きだったきみ
ぼくは、嘘つきになってしまったのだろうか
きみはぼくの描く売れない漫画が大好きで
熱烈な手紙もメールもくれたけど
きみは詩人で
ぼくに詩をかくことをすすめるので
片手間に書いてた詩みたいなものが
一人歩きした頃
きみは
あなたが詩人じゃなきゃ愛せたのに
と 言い残して消えた
ぼくは あれからも詩みたいな
小賢しい文章を連ねている
だけど
ぼくは僕の大嫌いな嘘つきになりさがり
愛を囁くすべてを失った
今でも
きみだけ傍にいてくれて
ぼくだけを理解してくれたなら
詩なんていらなかったのに
という本音すら
デタラメな言葉に聞こえて
自分の胸を抉ってみる
血を見てはきみへの温度を確かめていたのに
それでも
ちいさな甘いトゲたちがちくちくと刺さって
痛くて今はうごけないんだ
きっと 
ぼくは
真実を失った嘘つきである

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安心感

  切り割いて 流れる赤が鳴り止まず 生きる手応え リストカット

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