煙草と栞 1

煙草と栞  1
欲しい人煙草好きの詩人さん愛読書にはいつも栞が
教会の鐘が響くの草原で私の隣に空白の人
煙草吸う指に光るプラチナが私の胸を紅く切り裂く
お揃いのペアリングなど持ってない近くて遠い憧れの人
運命が絡まっていた 赤い糸宇宙の誰かに切断された
愛してる昨日の言葉は今日の嘘 君のすべてが今日でおしまい
街角で見かけた君の隣には背丈も似合う小さな女性
そんな顔して笑うんだ微笑む君はよそ行きの顔
好きなんだ 過ぎた季節にメイプルが色付き始める秋は嫌いよ
あなたの名千回呼んでも振り向かない千一回めがもう呼べなくて
君の指いつも煙草を挟んでる私のこともどこかに挟んで

 

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一月

一月
一月
Photo. R

冬から零れた
ちいさな春が
笑いながら
福寿草にひかりを
宿す
おめでとう
明けない夜はないのだと
囁くように
告げながら
二月に夜明け前を
手渡して
黎明の薫りを
開け放つ
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散華

散華
散華
華やかに
朱に染まる
花びらは
色はくれない
紅をさす
いつまでも
散らない緑を
恨んでみても
越えられないのが
華の涙か
散華の女
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花占いとうたつかい

花占いとうたつかい
花占い好きか嫌いかよりわける残酷な私と男と恋と
美辞麗句並べてみてもおいつけぬ綺麗な歌の裏には棘が
うたつかい聞いてくださいこの声を既婚のくせに好きだよ 好きだよ

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少女と実験室

少女と実験室
スカートをたくしあげたるその夜に一輪挿しの赤い花咲く
理科室に飾られている孤児(みなしご)の瓶に映る私の秘密
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星々の悲しみ

星々の悲しみ
茜雲追って躓く泣いた日に頬を零れる流星ひとつ
夜空にも見えない星がひとつある あなたがいない あなたがいない
吹きさらす暗闇の彼方に手を伸ばし掴んだ星は嵐という名 </span

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夢
夢にもみたことのない
あなたが
夢に現れて
夢にみたような事を
言うので
びっくりして
目覚てしまった
ごめんなさい
あなたは
午前5時の
瞼の奥に
閉じこめられたまま
私と一緒に
夢の途中

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迎春

迎春
迎春
【迎春】
あなたを
迎入れたら
お節料理に
春を詰め込んで
折り鶴が運ぶ
御神酒で飛ぼう
いよいよあなたは
宵の酔い口
お布団しいたら
布団の中の鶴と亀は
紅白歌合戦
除夜の鐘が響くまで
わたしとあなたは
煩悩の百八つ目を
数えあげ
浄心
初夢
一富士二鷹三茄子
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二人ぼっち

二人ぼっち
辿り着くことのない
小指の約束
薬指に光る
リングくらい遠い人
夜に電波塔から発信される
アイラヴユー
私たちなんて近くて遠い
指先だけの街にいるの
淋しい夜の路地裏で
口笛ふき
怖くないよと
灯りを求めて
泣く子のように
私たち
二人ぼっち

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新たな一字

新たな一字
今年がゆっくりと
重い荷物を背負って
通り過ぎてゆく
裾の長いコートを
年の瀬に引っ張るような
未練の風に吹かれたが
あなた方が繋いでくれた
手のひらを握りしめていたら
コートに隠れていた
新年が
私のセーターの胸元から
今年の抱負を連れてきた
あぁ
なんと書こう
この偉大なる
手のひらのぬくもりを
この
未来につながる
夜明け前の
一文字を
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