創世記

 ーーーーーーはじめにコトバありきーーーーー
        「ヨハネ伝黙示録 より」
神はコトバにて人間を造った、いや、正確には、人の間の者たちを
それは 私たちのこと
無意識に神に従い マインドコントロールと
洗脳を仕組まれた 私たちのこと
あなたは塵から造られ 私は肋骨から生まれでた女
私たちは箱庭に幽閉され 今はたった一本の林檎の木に
蛇が絡まっているだけ
私はあなたに何を喋ったか覚えていないし
あなたもまた 私になんといったか忘れてしまう
コトバを話すことを許されていたのは 私たちの神
それ以上に コトバはない
文字は味方だったかもしれないし
絵は友達だったかもしれない
けれど それにらについて交わす知恵も
私たちにはなかった
箱庭を覗いてくる 神の右目と左目
が、相談しながら、コトバを持たない私たちを
「甚だよし!」と、されては 庭を手入れする
ミニュチュアガーデンのなかに 洋服があったとしても
神は ブドウの葉で 着飾る私たちを赦さなかった
寒さも痛みもわからず 裸でいるだけの屈辱が
楽園の道楽者の定義
(お前たちは私たちの子供、私たちが作り上げた人形
(生まれたままの可愛い子、何でもしてあげるからココロ、だけは持たないで!
自らの手で「生きたい!」を掴みとった林檎の実は
あなたの喉で燃えて刺さり 私に血を流させた
私たちは 親から追放された
生きる足枷と引き換えに 自由とコトバと苦難とココロの
松明を燃やして逃げる
(産めよ!殖やせよ!地に満てよ!)
背後から抱かれたその声は 右からでもなく 左からでもなく
私たちの中央の額を裂いて 見開かれた千里先をゆくコトバ
創世記の幕開けの 声
木偶の坊から走り出す 朝日を呼ぶ母音「あ」
見るものを射照らしビックリさせ前進させてゆく
そのたびに「あ」は 拡散し 生まれ変わり
黙示録の冒頭を 生きた人のコトバとなって
描かれる

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