刺さる雨

ずぶ濡れのアパートを 飛び出して
たよりない街の たよりない自分から
駆け出して行く
「お前を産んだ途端に、
お母さんの人生は終わってしまったんだ」と、
罵る泣き声のようなものを
私は 誰に伝えたらいい
望まれないで 産まれてくることの
理不尽さをのせた産声は
雨に 叩かれ続ける
ねえ、
私は どこまで走ればいい
はじめから
ずぶ濡れながら喚いて
生きてきたような 私
それでも
雨がやむ頃には
晴れた空が 私の影だけを
映すだろうか
しかくいものを見ては まるいと言い
まるいものの中で 傷つけられてきた
そんな自分にしか なれなかったのに
私の影を埋める
誰かの陰を感じながら
雨が 頬を濡らし続ける

tukiyomi について

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