風葬

貴方は
飼い慣らされた春が またひとつ
骨を見せて通り過ぎて逝くのだ、と
冬の葬列の隙間から
骸が風化してゆく言い訳たちを 赦す
親しい者たちの名を
彫り込んだ胸を
見せることもなく
風花の舞う季節に
怯えることもなく
名もない風を受け止めてきた
ただ そんな悲しい景色のことを
赤文字で書いてはいけないよ、と
人を焼くような 人を焦がすような
色では書いてはいけないよ、と
青ペンを手渡してくれた時
触れた 貴方の指先
その温度 その体温が
泣いていた

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