老いた星

アルデバランの赤い星
老いた星が泣いている
夏も終わりの至彼岸
私が見上げた赤い星
夜空を彩るすべての星に
映える炎が 闇を喚ぶ
誕生の営みを知ってか知らずか
いまだに輝く 老いた星
若い星の生を幾千も見守り
先に逝った星々を幾億と見届け
今なお 輝き続けなければならない
老いた星
なのに
この星は どうだ
青い星 地球
海が空を生んだ惑星
この地球のどこかで もう一人の私が
この星空を見上げているのではないか
何時間も眠れぬ夜に
私が私を揺さぶり起こしているのではないか
「そんなに外にいると体を冷やすわよ」
いつの間にか後ろにいた母が
充血した赤い目で
宇宙の片隅から
私の名前を
小さく呼んだ

tukiyomi について

著作権は為平澪に帰属しています。 無断転写等、お断ります。
カテゴリー: 02_詩 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。