木目を合わせる

(薄っぺらな一枚の板
  一人じゃ何もできないけれど)     
作業所で木箱を作る
出来るだけ木目を合わせて 板切れが 
ささくれたり 曲がったり
歪にならないように
木目を合わせる
元は一本であった
樹の生命力溢れる節目たち、の
一枚一枚の板には 
人の目のような渦がある
木目はそこから 
私の人相を見ている
一人では使い物にならない
平板や横板や仕切り板が集まって
私の手の中で
再生の決意を促す
木目を合わせる
人間も一枚の 木理
一人一人その断面は くいちがい
年輪の渦から 引きはがされても
自分たちが通ってきた道を 
私に見せつけながら
新たな木々たちと 
お互いの手のひらの
皺と皺を合わせて 
繋いでいるように
一枚の板は 再び 
陽光にそびえる
一本の
大樹の姿の 夢を見ている

tukiyomi について

著作権は為平澪に帰属しています。 無断転写等、お断ります。
カテゴリー: 02_詩 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。