ある恋いの形見に

ある恋の形見に
戻れない蜜月を
振り返れば
其処には欠けた三日月
鋭い鎌で胸を刺し続けた僕らの
いつかの夜空の爪痕
今更の今日が
明日を隠すんだ
孤独が約束に
鍵をかけるんだ
満ち足りない日常に
くるまれた新聞紙から
腐った桃から滴り落ちた
水蜜桃の苦さを
僕は知ってるから
違う果実を探しながら
過去を千切りながら歩く
熟れ落ちた林檎を
かじってみても
僕らには
エデンは遠く
君またも遠い
僕は果てしない
夢を見るために
瞼を閉じた
琥珀色の瞳に
君を染まらせないように
そんな色のブランデーの海に
君を酔わせないために
孤独が約束通り過ぎた夜
狡い僕から
風に揺れてる
雛罌粟のような君へ

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