仇人

仇人
胸の真ん中の常夜灯
ぬばたま色に点滅
凍える閨に入り
独り
歌を歌う液晶画面から
文語体の恋人たち
雨に濡れて
衣に逢瀬の
韻を踏む
待っていたのは
恋人が差し伸べた手
振りほどいたのは
私の後ろの私
新月を忘れてしまった
嘘月
骸になった言葉を
あなたは抱いて
闇夜に御手紙
隔たれた壁の向こう側に
蠢く毒虫
奪うことでしか
あなたを
つなぎ止められない
かった
私は 仇人
赦されない
己の罪を恥じて
奈落の底へと
今日を
彷徨う

tukiyomi について

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