紅葉狩

紅葉狩
戸隠(とがくれ)の國 鬼女(ヒメ)紅葉(くれは)
崇められたる妖力と匂い立つ美貌の持ち主
平(たいらの) 惟茂(これもち) これを愛す
嵐の夜に恋は姿を現し 桜(はな)は乱れ散ることを知らず
酒瓶(さかがめ)に底なし 月は望月
躯(からだ)の熱は冷めることなく 閨(ねや)の夢もまた然り
操るは紅葉の舞い 惟茂の気色(けしき)
指を絡めて二人は狂い
薄暗がりで互いを悟る
淫猥な夢にうなされ
宴で煽るは 美味の毒杯
愛の言霊(ことだま)は 日月の輝きの如く火焔(ほむら)を放ち
花は華となり  艶やかに咲き誇る
真実(まこと)の愛は 鬼女(ヒメ)を比女(ひめ)に変え
紅葉殺める短剣は 底なし沼にて
愚者の恋の理(ことわり)を笑う
美酒(うまざけ)は尽きず 花は枯れず
かくて 紅葉狩(もみじがり)の幕は下りず

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