失った若草色の
色鉛筆を探して
新緑の森を過ぎ去る
透明な風
慌ただしい太陽が
恥ずかしがりながら
月に隠れた一瞬
瞬きもせずに
光った空の詩
バイバイ。人差し指
怖いんです
すべての人の手にある
人差し指
怖くて怖くて堪らない
私に与えられた
時計の針を
時計回りに
人差し指でぐるぐる回す
すると
人差し指が私の胸を刺す
人差し指が私に向けられ
笑い出す
怖いんです
人差し指
生きていくのに
邪魔な人差し指
今日
切り落としました
誰も笑わなくなった
四本の指の世界に
くるまって
今度目覚めるとき
時計は
止まったまま
朝を告げない
バイバイ
人差し指の悪夢
おやすみ
私
夜に落ちる
朝日が
沈んでくれないかな
と 思う日に限って
夜に落ちる
たとえば
昨日の誕生日ケーキの
蝋燭の火を
誰かに明け渡すような
老木の哀しみを
新木に知らしめるような
リレー始まっている
夜
私が脱皮したぬけがらを
朝
自分で見なければならない
朝日の角度は鋭角で
目眩をおこす
歪な風に吹かれながら
とぼとぼと
蛻の殻になって
捻れながら歩む私の道のりの
背後からは
夜がしたり顔
朝日が沈んでくれないかな
と
言わんばかりに
【再生/呼吸をするように】
天と地の狭間で
射し込む光と
砂塵に帰す闇
光は高らかに産声を
あげて号令をかけ
闇は忘却の能力に支配されて
いつしか大地に身を任す
森は沈黙を守りながら
命の営みを呼吸し
ただひとつの例外もなく
目覚める者と
眠りにつく者を
代わる代わる
再生させてゆく
まるで
地球がひとつ
宇宙に
提案したかのように
恋人へ
恋人と呼んだ響きが悲しくてアドレスを消す泣くな親指
春めいた今より過去がせつなくて胸には虚空 瞳になみだ
君の名を真夜中に探す淋しさにくるまりながら泣いてしまおう
好きだった二人ぼっちの春の日々独白ばかり空に帰す夜