魔女

(ソンナコト、イウ、ミサチャン、ナンカ、キライ。
ふたりは同じ薄ピンクのフレアースカートとツインテールの幼稚園児
ミサに、少女は拒絶の言葉を投げつける、と
ミサは酷く優しい顔をして、とても悲しい口調で少女を抱き寄せる
(アナタガ、ソンナコト、イウノハ、魔女ノ魔法ニ、カカッタカラデスネ。
手を引っ張って抱き寄せて、抱きしめて、抱きしめて、抱きしめて、
(カワイソウナ、女の子、デスネ。
耳元で言い包めた言葉が脳も身体も引き寄せて溶かし始めて包めとり
彼女の凍れる炎を、胸元の体温で出来た小さな松明で燃やしていく
   
    その呪文、その遊び、その血を秘めた、ミサ
    同じ服装、同じ髪型、けれど、
    キライをスキに変えてしまう呪文がつかえる、ミサ
    その妖しさは女だけが引き継ぎ、独占してきた魅了の悪戯
少女とミサは手を繋いで帰って行く
ミサの足元から伸びた影は狭い路地で もう、この街中に溶けて流れ出した
               ※
夜の街に女たちは大通りに隠れた狭い路地で 煙草に火を灯す
女のにおいを消しながら魔女に必要な炎を片手にかざして笑う
今夜生贄になる男を 吸殻一本にするために
青白く細く長い、指から、靄を独り、遊ばせながら
その、ケムリの行く末を 
弔いの唄に、換えるために

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