暮らし

手垢にまみれたコトバたちを 洗濯機に放り投げて洗い流す
駅前で叫んでいた主義主張たちを アイスノンにして頭で溶かす
空っぽの冷蔵庫から 私が居そうな卵を見受けて目玉焼きにする
フライパンから世界を覗き見すると また油にまみれ濁りが取れない
自分のかいた汗と涙の責任を シャワーの前でひざまつき懺悔しても
枕はリアルな夢しか語らない
時計の針は心臓をどんどん突き刺しながら 暗闇で零れる赤を撒き散らし
空の光は雄たけびをあげ続け 煩悩を数にして朝を呼ぶ
抜け殻になって脱皮した自分の皮を 朝一番でゴミ袋に詰め
炊飯ジャーから 眠気と食い気と色気をかき混ぜて五臓六腑に流し込むと
白い靴が黒い靴になるまででていけ、とアパートから不在証明を言い渡される

tukiyomi について

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