砂時計

砂時計
さらさらと
上から下へ
流れる調べに
砂浜から
誰かの息遣いが
聞こえる
たった五分の砂から
白くこぼれていくものたち
遥かな国の物語
ではなく
隣の老人の寿命や
誰かが海から流して
砂浜へ流れ着いた
人骨のようでもあり
この棺のなかで
上から下へ落ちては
呼吸するものたちを
ひっくり返して
甦り死んでは
生まれまた老いて逝く
旅立って逝った人々が
唯一
五分間
さらさらと
砂漠を旅してる
果てしない
海の藻屑となった
タイタニック号の調べ?
いいえ
一ページ完結の
隣のおばあちゃんの
悲鳴の分だけ
砂が零れた

tukiyomi について

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