小詩  二編

小詩  二編
【眠り】
記憶は青に染まり
充血した日常に
瞼は沈む
ゆらゆらと
独りきりで船出する
その出航先に
宛はない
霧の中で
私はわたしの名を
失った
空から銀糸が
垂れ下がる頃
私はわたしの名前を喚ばれた
「カンダタよ、這い上がれよ」

【おやすみなさい】
遠い所へいくんですね
いいえ
夜には会えますね
遠い所へいってらっしゃい
いいえ
そこがあなたの帰る場所
遠い所を彷徨いなさい
あなたが
望むあなたになるまで
おやすみなさい
記憶の街で
会いましょう

tukiyomi について

著作権は為平澪に帰属しています。 無断転写等、お断ります。
カテゴリー: 02_詩 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。