月       


月

          (乱太郎)
淋しげに唄う
恋などとっくに忘れて
靡く淡い音色
月の後ろ髪が解かれるとき
湖面の中央辺りに
漂う
在りし日の君の輪郭

          (月夜見)
在りし日の恋ひとつ
水面に写るは
偽物の月の形
拾えど
掬えど
盗めない月
私の手は濡れていました
あの人との歳月を
泣くように

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