たそがれる

たそがれる
砂浜にポツンと
白いベンチがひとつ
用意されていた
私はそこに座って
地平線に沈む
夕日をみていた
青かった波は
茜色に染まっていった
私はただ
沈んでゆく夕日を
眺めていた
私がこのベンチに
居座る前に
何人かがここを
通過したらしく
消えない足跡が
ベンチから
北に向かって
遺されていた
私は
白いベンチが
紅蓮の炎に照らされたとき
持っていたボールペンで
落書きした
このベンチに座った者
これから座る者よ
言葉だけおいて
私も逝く

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