晩夏と晩歌

晩夏と挽歌
診断書 狂い死にを並べられ 「手帳」に文字を 殺 殺 殺 と
ヨレヨレの布鞄にしがみつく 私の生と赤い御守り
夏の歌 詠えぬままに瞼閉じ 午後二時に来る 凍える魔夏
証をね 遺すの証 遺すから 最後の仕事 血塗られた詩画集
さようなら 私もうじき書けなくなるの 詩も絵も歌も 生命線も
ありがとう って言いたい人 たくさんで 涙の記憶 忘却の海へ
空高く 夏 何気無い顔をして 命一つを 彼岸に運ぶ
今ならば 詠えるのかな 私にも 透き通る骨 魚の挽歌

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