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2015年02月25日

ミオの星から 稲葉真弓

昨日、本棚を整理していたら、雑誌『アンサンブル』がたくさん見つかった。
かつて小山内彰子さんという方が編集者であった頃、よく私も寄稿させていただい
た雑誌で、発行はカワイ音楽教育研究会である。懐かしく思って、ページをめくっていたら
1992年10月号の巻頭に稲葉真弓さんの詩が載っていた。
かつて手元にこれが届いたときの、この詩から受けた深い印象を忘れていない。
あれからもう20年以上経ち、稲葉さんもすでに他界されているが…。

       ミオの星から                稲葉真弓

なんども生まれかわる星がある

闇に光り 闇に消えて 

ある日 秋の町にとどくのだ

あたりにはぼうぼうと

赤い夕日が燃えていて

その一点に

ミオの光はともるのだ

私は書こう あなたに

生まれ変わるための

長い年月について

そこにとどくときのよろこびと

消えるときのおののきについて

何億年も残るのは 私の体を包んだ

もう一つの金色の光であったことを

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ふしぎな詩だと思う。心が遠いところへ連れ去られていく。
最近彼女のエッセイ集『少し湿った場所』を読み、彼女の生きた
この世での時間と場所に、少しだが触れることができた。
この詩はいま稲葉真弓さんご自身にこそ、ささげたいと思う。   

投稿者 ruri : 2015年02月25日 11:23

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