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2013年02月19日

電子ブック漂流記 13)

「abさんご」をやっと手にしたものの、横書き小説を読み続けるのはやはり苦行だった。
それでもなにか試されているような信号というかサインが送られ少しずつ船を進めるが、ますます視界不良になるばかり。けっきょくまた遭難してしまった。

縦書き、ヨコ書きの問題はつまるところ日本語の成り立ちに由来するのではないか。これまでの漂流の経緯からそうは思っていたものの深入りすることはなかった。というか避けた。荷が思いから。が、平仮名ムーブメントが起きたせいでそうも言ってられない。少しカジっただけだが、平仮名というものが表音性と表意性のどちらにより基づくかで日本語の捉え方が違ってくるらしい。そこにヒントがあるかもしれないと針路をとることにした。

「abさんご」が平仮名中心の横書きを意図した理由は何だろう。
現代仮名遣いでは平仮名の一文字は原則一音だけに対応している。そこに意味はない。旧仮名遣ひではそうとは限らず、たとえば "e" 音にも「え」「へ」「ゑ」とあり、そこに意味が隠されていることもあるという。
「abさんご」では旧仮名遣ひの復権をネラッたのかと思っていたらそうではなく現代仮名遣いで通している。(組版活字がないから?)
ということは音に格別こだわったからだろうか。

アルファベットは表音文字で一文字一音、かつヨコ書きしか普通ありえない。
そしてそれはグローバルスタンダードでもある。
「abさんご」の "ab" は生命の選択を象徴してもいるだろうけれど、アルファベットと平仮名を並べることでなにか途方もない言語実験を暗示しているようにも思えた。


つづくka

投稿者 oqx1 : 23:55 | コメント (0)