「個展延期のお知らせ」

2月半ばに「岡本太郎現代芸術賞展」と「損保ジャパン日本興亜美術賞展(Face2020)」のオープニングがあった時は、コロナウィルスのことは話題にも上っていませんでした。それからあっという間に世界中に拡がり、3月にはイベントも展覧会も中止になって、4月には緊急事態宣言が出ました。後になって2020年のことを思い出すとしたら、と考えざるを得ません。それは美術の世界にどのような影響を与えるのでしょうか。美術自体の内容にも、アーティストの生活にも、、
創作活動をしていらっしゃる方は、当然ながら「創作」がメインですから、生活に必要なお金は
バイトをしたりパートをしたりして何とかしていらっしゃる方も多く、その方達の生活基盤が揺らぐ事態になっているのです。私は高齢者で、持病もあり、重症化するリスクが高いと、お医者様に警告されているわけですが、年金を貰っており、細々とやりくりすれば何とか描いていける、そのことが何だか申し訳ないような気持ちで、ブログ更新も躊躇していました。
今年の暮れは3年ぶりに個展を予定しておりましたが、7月後半になっても感染の拡大が止まらず、画廊とも相談して12月の個展を延期することにしました。一応、半年後という予定ですが、
この先どんな状況になるのか、誰も分かりません。
誰にも会わなくなったし、どこへも行けなくなった訳ですが、描くだけの私の暮らし、そのものはあまり変わっていません。昨年の10月、画集発刊の2ヶ月後、せっかくお手紙を下さった方にお返事も差し上げないまま、とにかく当時降りてきていたイメージを画面に定着させなければ、、、と描き始めた絵が、AとB 2点、ようやく10ヶ月ぶりに完成しました。私は呼吸器も弱く、煙草は吸いませんが、一服点けたい気分です。
いつかコロナのこと等気にせずに作品を見ていただける日が来て欲しいです。

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「2019年の終わりに」

2019年も残すところ半月になりました。今年は8月に発刊された画集が沢山の方の手に渡り、三十数年に亘る作品をじっくりとご覧頂けましたことが、まず有り難いことでした。そしてその後、頂きました様々な感想は、ご本人の許可をとってブログでご紹介したいほどだと思ったこともありましたし、少なくともお返事を差し上げたいとも思いました。しかし全て断念しました。この場を借りて御礼とお詫びを申し上げます。
発刊の後私がやるべきことは、褒めていただいた過去の作品のことを色々考えることではなくて、新作に真摯に立ち向かうことと思い定めまして、新しいキャンバスにGesso(下地)を塗り始めました。それから3ヶ月半、まだ苦しい段階です。「繰り返さない。」を信条としているので、完成までを10段階とすると1〜3はいつも苦しみます。反対に8〜10になると、もう突っ走るだけ。その勢いを求めるから繰り返さないんだと思います。文章の連なりが時に「文体」になるように、いつもの自分を越える一瞬が来ることを経験で知っているからです。
来年は久しぶりに公募展に参加します。ご覧になっていただけると嬉しいです。
1. 第23回 岡本太郎現代芸術賞展  
  2020年2/14(土)〜4/12(日)
  9:30〜17:00 (入館は16:30まで) 月曜休館(祝日を除く)、祝の翌日
  岡本太郎美術館
  〒214-0032 川崎市多摩区枡形7-1-5 TEL.044-900-9898
2. Face 2020 (損保ジャパン日本興亜美術賞)
  2020年2/15(土)〜3/15(日)
  10:00〜18:00 (入館は17:30まで) 月曜日休館(祝休日除く)
  東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
  〒160-8338 新宿区西新宿1-26-1 TEL.03-5777-8600

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最後まで残った絵

画集の発刊が遅れ、予約して下さった方をはじめ、あちこちにご迷惑をかけております。
色校正で最後まで残った絵は次の2点でした。
処理工場の夕暮れA
http://naoinoue628.webcrow.jp/j_sfile/wplant.html
処理工場の夕暮れB
http://naoinoue628.webcrow.jp/j_sfile/wplantB.html
この絵について過去にブログを書きました。
「鳥、鳥たち」
https://www.a-happy.jp/blog/nao/2012/04/
「美しさ」と「辛さ」が同居している状態を表現したいと思っていました。
まだ福島の事故は起きていない頃の絵でした。
実際に色校正をすると「暗さ」と「明るさ」の割合がとても微妙で、
ちょっとズレても成立しなくなります。 校了したいと思う気持は
私が一番強いはずですが、妥協するわけにはいきません。
校了した後、手作業の「フェデックス綴じ」ですから、出版は8月上旬に
なりそうです。 5月20日出版の予定だったので、本当に申し訳ない。
納得のいくかたちでお届けしたいと思っており、そのために制作チーム、皆で努力しておりますので、もうしばらくのご猶予を。

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画集の概要

画集の概要が決まりました。出版は7月中旬の予定で、順次予約を受付けます。色んな場所で
販売させていただきますので、よかったら、その場でお求め下さい。送料がかかりません。
井上 直 画集
 
 B4版 横広コデックス綴じ 72頁
 限定1000部
 テキスト  大谷省吾
 翻訳    南平妙子
 写真    フォトセンター・ヴィレッジ、タジマ・スタジオ、エス・アンド・ティフォト
 制作    印象社
 印刷    光村印刷
 発行    art space kimura ASK?
 価格 1冊:税抜き ¥7200 (税込み 8% ¥7776 10% ¥7920)
 送料:¥600~ 册数、距離によって変わります。
詩集に比べると高いですが、色校正も4回以上やっていますし、「コデックス綴じ」というのは頁をまたがって印刷できる綴じ方で、今では職人さんも少なく、手作業の仕事です。テキストは全て英訳してありますので、外国へのお土産にいかがでしょうか。台所の食卓で「玉じゃくし」のデッサンから始め、しだいに世界を広げてきた、私の36年間の集大成です。どうぞよろしくお願い申し上げます。 
現代日本美術展に出した「最後の朝」を東京国立近代美術館賞に選んで下さった本江邦夫氏が、つい先日亡くなりました。「あの後、このように生きて描いてきました。」との報告も兼ねて、一冊お送りするつもりが無理になりました。美術界では雲の上に居るような方で、私のような者が何故?と自分でも不思議なのですが、同い年のせいでしょうか、深い虚無感にとらわれています。
                         井上 直

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画集出版、遅れます。

各作品の色校正をやっていますが、出版が少し遅れて6月末から7月初めになりそうです。待っていて下さる方がいらしたらすみません。1992年以降「白衣」に入ってからは資料もあり、何とかなるのですが、鉛筆の頃が問題です。当時はポジとネガ両方のフィルムを残す方がいい、と言われておりましたが、いつの間にかデジタルの時代になりました。フィルムのよさもあるので、両方の兼ね合いを考えながらやっています。それも何とか納得できるところまでやるだけですから、あと少しです。
画集を作る、ということはこれまでの自分に順番に出会っていく作業で、そのどの自分も必死だったなぁ、、と思います。美術大学も出ないで、自分の持っているものだけでやろうとしていた。その私にいつも力を与えてくれたのは詩人たちでした。彼らは「詩人大学」を出ていなかった。その感性と言葉の力、背景となる思想を持って言葉を紡いでいたのです。詩を書くように絵を描いていこう、それが私の出発点だったことを今回の画集制作は思い出させてくれました。

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「画集発刊のお知らせ」

2017年の個展以来のブログ更新です。「平成」が「令和」に変わるこの春、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。長期間お休みしてしまいました。
2018年1月に画廊との間で画集出版の話が起きました。初個展から36年になりますので、いつか画集を作ってみたいと思っていましたが、それが実現するかもしれないというのは、私にとって一つの事件でした。本がなかなか売れないと言われる時代に、画集はどんな意味を持つのだろう、と自問しながら、作品を選び、頁ごとのレイアウトや全体の構成を考える1年2ヶ月でした。私は大作を中心に制作を続けてきた作家なので、そのスケールをどうやって伝えるか、も課題でした。
今、文字やレイアウトの校正がほぼ終わり、各作品の色校正に入るところです。出版は5月20日前後になりますので、ご購入いただける方は、その頃 art space kimura ASK? または私のアドレスまでご連絡下さい。2020年暮れの個展会場でも入手できます。具体的な価格につきましては画廊に任せてありますので、決まり次第、アップロードさせていただきます。
絵を見た人々の中に眠っている「私と似た感覚」を呼び覚まし、それぞれの人がご自分の生きてきた時間や、忘れ難い瞬間に思いを馳せる—そのきっかけになるような画集であれば嬉しいです。

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「個展のご案内」

秋も深まってまいりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
3年ぶりで、また個展をさせていただきます。初冬です。
以前60代が最も仕事ができた、とおっしゃるアーティストに会ったことがあります。
自分が何を目指してやってきたのか、少し見えてきて、それでいてまだ体力が少し残っている、60代がそういう時期だとしたら、ベストを尽くさないと後悔するな、そう思って過ごした3年間でした。
井上 直 展 Nao Inoue
12月4日(月)〜16日(土)
11:30〜19:00(最終日17:00まで日曜休廊)
art space kimura ASK?  TEL・FAX 03-5524-0771
〒104-0031 東京都中央区京橋3-6-5木邑ビル2F
(東京メトロ銀座線京橋駅1番出口より徒歩1分。「美々卯」隣り。)
(都営浅草線宝町駅4番出口より徒歩1分)

「答唱」 1818×2590

雪深い森のなかで、あるいは小舟のうえで、白衣たちは何をしているのだろうか。井上直の作品の前に立ち、白衣たちに導かれるように画面のなかに入り込むと、私たちは個人的な記憶をたどりながら、それぞれの物語を紡ぎだすことになるだろう。そして人生について、あるいは自然のなかでの人間の存在のあり方について、思いを巡らせることになるのである。
             大谷省吾(東京国立近代美術館美術課長)

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新年のご挨拶

 2017年、明けましておめでとうございます。暮れの個展まで一年を切りました。昔、京橋のASK という広い空間で新作ばかりの個展を続けていこうと決心した時、2つの重要なことを忘れていました。「自分の体力が年々衰えていくこと」と「自分を満足させることが年々難しくなっていくこと」です。それらを思い知りながら、今回の個展はこれまでになくハードなものになっています。
 
 年頭に96才になる母に会いにいきました。母は体調悪く、混乱していましたが、その「悲しい叫び」は伝わりました。帰り道、私は絵を描くことが自分の天職である理由を見つけたように思いました。内にあの叫びを込めた静かな絵を、これからも描いていくだろう、、、と。
 暮れが近づいたらご案内させていただきますので、どうかまたご覧になって下さい。

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「ホームページの移転」

約1年半ぶりの更新です。暑い夏が終わろうとしていますが、みなさまお元気でお過ごしでしょうか。身体のあちこちに支障をきたしているのは、年齢を考えると当然だと諦められるのですが、今年は豊作だと喜んでいた柿が、直径4cmにもなった青い実を次々と落として、その度にゴン!と大きな音がするのです。何か摑めそうだ、と思いながら描いている身には、それが結構こたえます。つけ過ぎた実を間引いているだけ、と自分に言い聞かせるのですが、摑めないかもしれない、と思う日もあります。様々なプレッシャーにもめげずに立ち向かっていくオリンピックの選手たち、えらいなぁ、、、
お知らせ
これまで私のホームページは KDDIのレンタルサービスを利用してきたのですが、それが2017年10月末で終了することになるらしいのです。次の個展の直前で余裕のない時期なので、今のうちに以下のアドレスに引越しをしました。今のところは両方で見ることができますが、2017年11月からは新しいサイトのみになります。訂正などお手数をおかけしますが、よろしくお願いします。
  新しいURL
http://naoinoue628.webcrow.jp

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「HP の改良」

久しぶりのブログ更新です。皆さまいかがお過ごしでしょうか、、、私は少し体調を崩して、2015年をゆっくりとスタートさせました。これまで長い間 HP を改良したいと思いながら、作品で手一杯だったし、HTML が苦手なこともあって果たせずにきました。でも個展の後、新しい作品を UP しなければ、と思い切って手を付けました。この分野にお詳しい方から見ると相変わらず素朴なものではありますが、よろしければ覗いてみて下さい。
この機会に初個展から10 年間の「鉛筆作品」も UP しました。懐かしい世界です。私の場合、「鉛筆」だと世界はどんどん極私的に、「白衣」だと大きくなっていく傾向があるようです。
井上 直 の ホームページ

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