新年早々引越しだ。 壁や棚から見慣れたものが消え、ダンボールが積まれていくにつれ、ここでの暮らしが急速に遠のいていく。 本と作品が増えすぎたのだし、引越しはやむを得ないと、分かってはいるのだが、何か大きな間違いを犯しているような気がする。 多摩川に近い、この小さな家に、私と私の家族は、約30年暮らした。 たまたま移り住んだ土地だったが、予想以上に深く根を張ってしまい、今や、断ち切る以外、どうしようもなくなっている。
この秋、読んだ、W.G.ゼーバルト「移民たち」(白水社・鈴木仁子訳)には、「すべてを壊しても記憶は残る」とあった。 過去の記憶の細部が、蜘蛛の巣を思わせる繊細さで描かれており、そこに分け入って、ついに絡めとられてしまった蝶を、連想させるような小説だった。 最も未来について考えなければならない、引越し直前に、どうしてそんな小説を読む気になったのか、、、
先週、私は古い手紙を整理した。 新しく住む家の電話工事を予約した。 既に「過去」と「未来」の中継点に来ているのに、ともすると「過去」に引き戻されそうになるので、最近の私は、なるべく機械的に、と心掛けて、ダンボールを詰めている。
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