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2008年01月01日

「エンピツの夢」

アンジェイ・ワイダの「地下水道」が撮られた時代、中井正一の「『土曜日』巻頭言」が書かれた時代は、当局の検閲が厳しく、自分の考えをそのまま表現することはできなかった。 彼らが使った「隠喩」や「象徴」の力を私たちはすっかり忘れてしまったのではないか、、、と、2008 年の幕開けに考える。 

というのも、暮に聞いた歌が、曲は好きなのもあったのだけれど、歌詞があまりに「そのまんま、、」で、うんざりしてしまったからだ。  

そんな折、チェスワフ・ミウォシュ著「ポーランド文学史」(未知谷)の中に、次の詩を見つけた。 

皆さんの初夢はどのようなものでしたか?

   
 「エンピツの夢」    ティモテウシュ・カルポーヴィチ(1921〜2005)
                        沼野充義 訳

エンピツは服を脱いで眠りにつくとき
硬く心に決める
こわばって
黒く眠ろうと

そのとき頼りになるのは
世界中のどんな芯も生まれつき
曲がらないようにできているということ
エンピツの背骨の芯は
折れることはあっても 曲げられない

エンピツは決して 波や髪を
夢に見ないだろう
夢に見るのはただ 直立不動の
兵士たちか それとも棺桶だけ

エンピツの中にあるものは
真っ直ぐだが
エンピツの外にあるものは曲がっている

おやすみなさい

投稿者 nao : 2008年01月01日 00:57

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コメント

おもしろい詩を新年早々に読みました、おかげさまで!
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

投稿者 ruri : 2008年01月02日 17:34

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