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2016年01月24日

揺らぐ街

言葉が厚いナイロンシートの
壁にぶつかって流線形に歪む
喋るのは得意ですが独りです
世界は四角く私たちは丸いと
思っていたのに傾いた地軸に
逆らえない街の人と通じない
回転しながら壊れてる私の頭
告白ならその辺りで伺います
流線形のぼやけた歪みの視界
言葉が屈折して流れていく夜

投稿者 tukiyomi : 21:58 | コメント (0) | トラックバック

2016年01月07日

空席

晴れた日の会場内に 用意された百脚の椅子

来賓者、関係者、招待者、出席者、
名簿に記載された ずらりと連なる固有名詞

司会者は叫ぶ
(百人満席、晴れた日に、)
新聞は語る
(百人聴衆、晴れた日に、)

けれど
後ろから二列目
左端から並んで三つ
三つの席に雨が降る
印字された連名から はぐれて
ペラペラになった紙同様 役に立たないと剝がされて
どこかに飛ばされてしまった人の、かなしみを
横目でチラリと眺める人の、高笑い

九十七人しかいない晴れた日の場内の、その隅で
冷たい雨は降り続く

晴天の宴は記事になり 朝夕を陽気に色濃く飾ったが
閉ざされた会場の椅子にまだ 
湿っぽい、かなしみたちが忘れられ
滲んだままで 座り続ける

投稿者 tukiyomi : 20:59 | コメント (0) | トラックバック

2016年01月01日

マザー・ファッカー

子供をたくさん産んだ 女友達
男を連れた 同級生
女が皆で ぼくの、ママになりたがる
   オマエハ、デキノ、ワルイ、コ、ダカラ
   (だったら、見なきゃいいのに
   オマエハ、ソウイウトコロガ、ダメナトコ
   (お願いだから、もう、構わないで
   オマエガ、カワイイカラ、イッテアゲテルノヨ
   (だったら、どうしてニヤニヤしているの

たくさんたくさん連なるママが ぼくの法律を決めて ぼくに戒律を与えてくる
今日 ママを殺す夢を見たはずなのに 今晩 違う男とセックスしている女が
ぼくが殺したママをふたり産んで ふり向いて笑った
ぼくが大きくなるにつれ ぼくの頭を押さえつけるママの手が
どんどん積み重なっていく、降り積もるママの大群

真冬の真夜中真っ裸で両脚をM脚に広げて 
ぼくを その、真ん中の暗い穴に 笑いながら頭から吸い込もうとする女神
今夜 そこにぼくは巨大なピストルを手に 弾丸を打ち込んでママを壊す
ママの作ったぼくの六法全書を ぼくの独立宣言書に書きかえるため
ぼくはぼくのやり方でママと壊れる
(オカアサンガ、ダイスキナ、ママ、ダイスキナ、ママ、ダイスキ、ナ、ママ、
       
            ※         

どこか、くらいところで 
ケモノのなきごえが ひどく、しみる夜に
ぼくは、あなたが殺した父になる

投稿者 tukiyomi : 17:38 | コメント (0) | トラックバック