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2014年11月29日

乗り合わせ

平日午前十一時四十分発の
高速バスに乗る人は 
どこか イワクつき

一番初めに声をかけてきた おじさんは
昼間から泥酔していて
小さな透明のペットポトルの中に
日本酒を入れていた

「お嬢ちゃん、いっつもなぁ、この時間は
空いとるさかい、時間より早うバスが来るんやけどなぁ~。」

好い気分で分厚い唇から酒臭いにおいが
暗い鉄橋下の高速道路を 益々錆びつかせる

訳ありのセールスマン
同じ安いビジネスホテルから出てきて
何処へ行くのか

黒い重そうなキャリーケースを側に置き
秘密書類を見るような鋭い幾何学の視線
が、映す 腕時計の針の一秒先

流行りの布リュックにカンバッジを幾つも付けた
二人連れの女子中学生は 乗車と同時に
スマートフォホンで 無言の会話

切符には 囚人のように 赤い数字の番号

私たちは 何処に向かうのだろう

道路から私たちを覗き見していた
巨大な看板たちから バスが逃げ出すと

真っ黒いトンネルが・・・
巨大な口を開いて 待っていた

投稿者 tukiyomi : 2014年11月29日 22:39

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