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2013年09月29日

彼岸花の影法師

彼岸花と影法師


寂れた公園のブランコに
射し込む夕陽と 鱗雲

私を見下ろす背の高い
夜間ライトの点滅が
今年の夏に 終わりを告げる

夕暮れ迫るあの空に
向かう流星 帚星
飛行機雲に 願いを込めて
ブランコ 揺らして ゆれている

足の上がらなくなった母の
時計を止めようとしたがる父の
その終焉の空を視て 
滲んだ空は どんよりと
赤くなっては 水になる

父母の骨を焼く 空を
私は私の水で 消せたらと
過ぎゆく季節に 地団駄踏んで
強くブランコの 振り子をゆらす

どんなに抵抗してみても
追いつけないし 追い越せない
白髪になった彼岸花
夜露を零して 黒くなる

先に逝った黒い花弁の赤い花
冠燃やして手ぐすね引いて
ここまで、おいでと
父母を喚ぶ

夜道のような 影法師
冠 亡くした 彼岸花
やがて 闇に呑まれては
見えなくなって 溶けたまま

私が歩む獣道 家路で待ってた 白い猫
二匹は 足跡 足音も
無いまま帰る 古い家

りん、と 鳴った鈴の音は
夜道の影への 抗いと
知っていたのか 死人花

投稿者 つるぎ れい : 2013年09月29日 18:17

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