4月12日の夢(コインを拾う)

 ビルの裏階段を降りた角地に泥にまみれてコインが落ちているのを見つける。一枚拾うとさらに一枚。それを拾うとまた一枚が見つかる。泥を拭ってポケットに入れる。すると五百円玉が目に入る。急いで拾うと、それはコインではなく、金属の破片だった。がっかりしていると、裏口から顔を出した女性に、何をしているのかと声をかけられる。焦ってごまかす。

 北海道を団体で旅行している。会社の社員旅行らしい。列車の手前側にカーテンで仕切られた区画があり、ぼくはそこに置かれたベッドにひとりで寝ている。「〇〇さんも歌っている」という声が上がったので、カーテンを開けると、左手の窓際のベンチ席には社員たちが座り(その中には楽しそうな妻もいる)、右側の壁にもたれて中年の役員たちが立っている。賑やかな歌声が聞こえ、二人ともマスクごしに口が動いているので、確かに歌っていると確認できる。普段から強面で知られる役員たちだけに、社員たちは歌謡曲を歌う姿との落差を面白がって大声ではしゃいでいる。

 手にしたパンフレットに温泉につかるタンチョウヅルたちの写真が載っている。ページを開くと画面は動画になり、人間たちとツルたちが首だけ温泉の水面から出しているのが見える。ツルたちは長いくちばしを伸ばして、人間たちの口の中からおいしいものを強引にかすめとって食べている。

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4月9日の夢(鍵を禁じられた部屋)

 ぼくは学生で、今は昼休みだ。芝生やロータリーの整備された広い中庭に真っ先に並ぶ。何列もできた学生たちの行列の右端の一番先頭である。いつもならここに何人もの弁当屋が来て、並んで買うのが通例だが、今日は待てど暮らせど弁当屋が来ない。時計を見るともう0時40分だ。あきらめて真っ先に行列を離れ、大学の外でランチを食べようと思う。

 暗い貧乏下宿に学生のぼくは一人暮らしをしている。家主からドアに鍵をかけることを禁じられているので、無施錠のまま外出する。

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4月7日の夢(アメリカで歌手になる)

 アメリカで歌手デビューし、トランプタワーのような超高層ビルのレストランで歌うことになる。ぼくを含めて三人の男性歌手がビルの入り口で出演順を待つ。一人一人エレベーターで昇っていき、いよいよ最後のぼくの出番が来た。派手な服を着て昇っていくと、そこは狭くてフロア全体の見通しもきかないような、安食堂だった。それでも中年以上の太ったアメリカの夫婦連れを前に、ぼくは美しい高音で持ち歌を無難に歌いこなした。出番を終わり、退出しようとすると、主催者らしい女性が近づき、「あなたの想像したのとは違っていた?」と声をかけてきた。

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3月24日のもう一つの夢(ワクチン注射)

 家の前の街路に長テーブルとベンチが並べられ、テントが張られて、ワクチン注射のカウンターができた。早速行ってみる。しばらく迷った末、ぼくは左腕ではなく右腕をカウンターに乗せ、「血管がこちらの方が見やすいので、いつも右腕に打ってもらうんですよ」と言う。そこでうとうとと眠くなり、しばらく意識が途切れたようだ。はっと目を覚ますと、さっきまでぼくの応対をしていた若い男性スタッフが、ちょうどテントの外から帰ってきたところだ。びっくりして「どうしたんですか?」と訊くと、「家へ帰って、ちょっと寝てきたんですよ。おかしいですか」と答える。それを聞いて、ぼくもほかのスタッフたちも唖然としてしまい、しらーっとした空気が流れる。

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3月24日の夢(親がかり)

 ぼくはまだ親がかりで、二階建ての実家の部屋に住んでいる。左手には街路を見下ろす窓がある。かたわらには女性占術師が静かに立っている。と、入り口ドアのすりガラス窓に両親の姿が見えた。彼女を見られてはまずいと思い、ぼくは占術師に壁につくられたキャビネットの中に入るよう促す。しばらくして両親がいなくなったと思い、彼女をそこから出すが、そのとたん母親が突然部屋に入ってくる。まずい。だが、母親は占術師を見ても何も言わない。見えていないのだろうか。

 それからぼくは父と大げんかになり、二人とも凶器を持って互いに激突する。視界が真っ暗になり、どうやら二人とも大けがを負ったようだ。

 しばらくしてぼくは学生になり、街の郊外にある交差点の真ん中に立っている。かたわらにはやはり占術師が黙って立っている。生きた人間というより守護霊なのだろうか。向こうから父がにこにことぼくに近づいてくる。だが占術師には目もくれない。多分、見えていないのだろう。父親は言う。「何も心配することはない。まず北九州にある大学に行きなさい。そこの学長にうまくやってくれるよう頼んでおいた。少しだけそこで身を隠したあと、今度は南九州の企業に就職しなさい。そこにはエスという宗教を信じる社長さんがいる。ぼくは思うんだ。企業には独裁的な会社と民主的な会社があるが、時には独裁的な会社の方がいいこともあるんだ。経営が効率的にできるからね」。そう言うと、彼は交差点から立ち去る。ぼくはその後ろ姿に向かい、「エス? エスって何ですか?」と叫ぶが、父はもう後ろを振り向かない。

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3月23日の夢(映画制作とスピーカー)

 ぼくは映画の制作スタッフで、今日は川にロケに来ている。監督が俳優たちを乗せて川を下る船の映像を撮影している。

 会社に戻ってきた。仕事がとても忙しい。それなのにデスクの上のぼくのパソコンが消えている。これではお手上げだ。

 監督の作ったオープニングのテロップの試写を見る。上から下へと出演者やスタッフの字幕が流れていくが、一部だけ逆に下から上へ流れていく字幕がある。これでは統一がとれないじゃないか。

 廊下で男性スタッフの服を一枚ずつ脱がせていく。脱がした服をハンガーにかけて、彼に返そうとするが、そのとたん油をなみなみとたたえた小さな壺が廊下に置かれているのに気づき、うろたえる。周囲にいたスタッフみんなで、屋上の雨を流す穴に壺の油を流し込もうとする。

 トイレから戻ると、壁に置かれた目覚まし時計のような形をしたスピーカーから、電話の声が流れている。先ほどのテロップを制作したスタッフからだ。「表紙ができたけど、ぼくは行けないので……」という伝言である。それに対してぼくが返事をしようとすると、相手はいきなり「最近、いつもぼくの伝言が終わったところで、きみは電話に出るね」と文句を言う。ぼくは「いやいや、ぼくは受け取りに行けますよ」と、強い口調で反論する。

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3月11日の夢(縁側から吹き込む風)

 向こうから手前へとまっすぐな道路がぼくの足元へ続いており、そこを中年男性や若い母親たちが続々と通勤してくる。ぼくのいるのは新しいベンチャー企業のオフィスで、ぼくはそこの社員だ。今日、新入社員として女性が二人入社してきた。一人はもこもこした服を着た女性だが、その服を脱ぐと痩せている。

 オフィスは名古屋にあったぼくの実家になっている。縁側からどっと強い風が吹き込んできて、室内のいろいろなものがめちゃくちゃになる。各部屋に布団が一式ずつ敷かれていて、そこに社員が泊まるらしい。彼らが就寝する前に、ぼくの必要なものはあらかじめ部屋から運び出しておかねばならないなと思う。

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3月1日の夢(大腸のようなバス)

 クラスの女子たちが雨の日、ぼくを家に招待してくれた。訪問者にはレインシューズを用意してくれたのだが、玄関で脱いだ自分の靴を見ると、緑色のかわいい模様が描かれていて、とても男の子の履物に見えない。でも周囲の靴と比べると、ぼくのだけひときわ大きい。手を尽くしてくれたものの、男子用の靴を用意することができなかったのだろう。部屋に上がるが、女子たちが現れないので外に出る。

 四角い田圃を囲んで女子たちが畝に座っており、食事の支度がされている。右側に女子とおとなの女性とが並んで座り、人生相談をしている様子。それを見てぼくは不愉快になり、「いつもこんなところにぼくを案内して、ぼくを人生相談に引き込もうとするんだろう」と詰る。

 まだ少年のОくん(ぼくに文芸の面白さを教えてくれた歌人)がぼくを案内して、小さなバスに乗せてくれる。しかし手に持った小さな白い紙片を示し、「ゴミを捨ててくる」とバスから降りる。彼を外に残したままバスは発車してしまった。バスの壁は不透明で、外は見えないが、バタバタとОくんが走って追いかけてくる気配がする。運転手が「こっちこっち」とマイクで叫んでいる。バスはさっきまで小型で、乗客なんていなかったはずなのに、今は大型バスになり、高齢者の乗客が何人も乗っている。しかしバスというより、そこは大腸の中のようだ。白いひだひだの壁が曲がりくねっており、ぼくの席からは運転席の方を見通すことができない。

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2月27日の夢(リュックを忘れる)

 もう年末が間近だ。夜、仕事を終わり、時計を見ると10時近い。そろそろ退社しようとトイレに行く。便器の中にトイレットペーパーがいっぱい詰まっている。自分がやったと思われるのは心外なので、人に見られないうちに慌ててそこを飛び出す。しかしトイレの前にスリッパとリュックを置き忘れてしまった。どきどきしながら取りに戻る。

 オフィスに帰ると、亡くなったK社長以下、社員たちが何事か会議をしている。時節柄忘年会の打ち合わせと思い、ぼくも何げなく参加する。もう一人後から加わった女性社員に「何の打ち合わせ?」と尋ねると、彼女も「さあ?」と言って、要領を得ない様子。

 どうもお呼びではないようなのだ、そそくさと退出するが、またリュックを忘れたので取りに戻る。外へ出ると雨が降っている。もう11時過ぎだ。こんな時間から家に帰れるだろうかと不安になる。

 

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2月26日の夢(メアリーというお店)

 寝室を覗くと、ベッドの上にぼーっと立ち尽くす死んだ父親の姿がある。さっき見たときはなかったのに。

 自宅の前にお店が三軒ある。妻はそこで買い物をすると言うが、二軒でしか買い物できない気がする。一軒の店の名前を「メアリー……」と紙に書く。「ここはダイソーだよね」と、ぼくは妻に確認する。

 妻が出勤したので、ひとりで雨の街に出る。履いている黄色のズック靴はびりびりに破れて、ほとんど足に引っかかっているだけだ。しかし新しい靴を買うお金の手持ちはない。家に帰れば立派な黒の革靴があるのだからまあいいかと思う。

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