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2010年08月06日

油蝉

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アブラゼミの羽化 成虫は褐色と黒の混交

腹を上にした油蝉が、ベランダで何匹も骸になっている。
早朝からそうとうの数の油蝉が、名前どうりに油でものを揚げる時の音そっくりに「ジージージワジワ」と泣き始め、ずっと聞いていると「ワシワシ バシバシバシ」ともっとひどく押してくる。

電車の中で会社勤めらしい男性が連れの女性と嬉しそうに話していた。
男性「最初にジジ-っとどっかで鳴き始めたと思ったらね それからずーっと鳴いているんだよ。あははは。みんなであちこち探したら、何でこんなとこでっていう隣の部屋の床で蝉が見つかってね、くっくっく。それから油蝉を掴んで外に飛ばした人がいるんだ。ははははは。野生児って言われている人だけど、一匹の蝉で大笑いだよ。」
女性「その人きっと森山君でしょ」
男性「あたり!ぶわははは」
暑い日の会社の仕事の最中に、油蝉に訪問されたことがこんなに喜ばれている。
均一化された顔で仕事をしている中で、森山君が野生児の表情を取り戻し、油蝉をつまんで、みんなの前を横切ったことも嬉しかったらしい。」
私は電車の中で、森山くんの白いシャツを着た、人間大の油蝉を想像して笑いをかみ殺した。

鳴くのはオスだけで、腹の発音筋で発音膜を震わせて音を出し、腹の中の空洞に音を響かせるので音響効果抜群。後ろ足の付け根の左右にある腹弁(ふたのような硬い膜)で音を整える。腹弁をめくってみると白い膜があるが、これが耳の鼓膜にあたり、他の音と仲間の声を聞き分けることができる。
鳴くのはメスをさそう「本鳴き」や、「呼びかわし音」、「悲鳴音」、「休息音」などあるが、一番感心したのは、仲間の声にこたえて鳴く「合いの手音」だ。相手に反応して合いの手を入れるかのように鳴く。
序奏、中間奏(興奮気味)、後奏もある。
口吻を見ると長く、木にさしこんで汁を吸うにはもってこい。
つかんだ時におしっこをかられけると思っていたが、あの液体は木の汁の余分だった。

投稿者 mari : 2010年08月06日 08:46