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2010年08月05日

翡翠石の風

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翡翠の石笛

10年ほど前、宗像のHさんから吹けるのなら差し上げると言われて、Hさんの目の前で石笛を披露することになったが、御褒めの言葉をいただき、糸魚川の翡翠の石笛をいただいた。
虫の音や風の音や傀儡師や舞人が胴体に巻いた板を打つ音に合わせて即興で石笛を吹くには相手と一体になることが必要であることは言うまでもない。
石笛を吹けない方々は、古神道の神降ろしを口笛を吹いてやっておられる。
2枚貝のイシマテガイ(そのほかには夜になると発光する2枚貝のカモメガイもある)の出す酸で石の底まで穴が貫ぬかれた石笛がある海岸があり、考察すると縄文や弥生時代のシャーマンたちも石笛を使っていたのではないだろうかと思われる。
耳に病を持った人が海の神社に穴のあいた石を供えているのを見たことがある。
現代では、琴との共演を7年間やらせてもらったことがあるが、やはり自然の音との共演の方が古錆びた感じが出て時を遡って行ける。
神主さんとのつながりで知ることとなったHさんは、海辺の漁師さんたちの大漁や無事の帰港や諸々の祈願をしてくれる祈祷師である。
太鼓をたたき、剣を振るって風向きを変え、悪霊の軍勢を祓うことができる闘う人である。

夏の間は、ひんやりした翡翠の石笛を手に持ち、水晶の椅子に座り、床から天井まで翡翠でできた部屋の中で涼んでいたい。
石笛や弥生の土笛は、風に向かうと静かに鳴り始めるので、人間のはからいを離れた自然の合奏ができる。


「英霊の声」三島由紀夫から 石笛に関して 
「石笛の音は聞いたことのない人にはわかるまいと思うが、心魂を揺るがすような神々しい響きを持っている。清澄そのものかと思うと、その底に玉のような温かい不透明な澱みがある。肺腑を貫くやうであって、同時に、春風駘蕩たる風情に満ちている。古代の湖の底をのぞいて、そこに魚族や藻草の姿を透かし見るような心地がする。又あるひは、千丈の井戸の奥底にきらめく清水に向かって、声を発して戻ってきた谺をきくような心地がする。この石笛の吹奏がはじまると私はいつも、眠っていた自分の魂がよびさまされるやうに感じるのである。」

投稿者 mari : 2010年08月05日 08:12